高配当株投資の風潮に思うこと

2019年7月11日木曜日

雑記

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昨今の高配当株投資の風潮に思うことです。
クソみたいな罵詈雑言が出てくるので苦手な人は見ないでください。

Twitterで株クラスタをテキトーに眺めると、誰もかれもが高配当株投資に夢中になっている。
ネット記事を見ると、アナリストとかいう訳のわからない職業の人間まで高配当株投資をオススメしてたりする。
そもそも、この高配当株投資というのは何かというと、配当利回りの高い株に投資することだ。
じゃあ、何%からが高配当やねんってなると、これは人によって感覚が違うのだけど、4%以上になると、みんな高配当と認識している、ような気がする。
よくみんなが話題にする、高配当の代表的な銘柄はJTとかオリックスがあるよね。
ちなみにこの記事を書いてる時点で、JTの配当利回りは6.29%、オリックスは4.64%だ。
なるほど、これらの株を買えば、毎年その割合でお金がもらえるんだ。
銀行に預けてもゼロ金利なのだから、配当株を買わない理由はない。
どうせ買うなら高配当が良いに決まってる。
ここで、JTのチャートを見てみよう。
何と数年単位でどんどん株価が値下がりしている!?
低い株価であればあるほど配当利回りは高くなるのだから、株価の値下がりに合わせてどんどん買い増していけば、配当利回りは高くなる一方だ!すごいぞ!
そして人は無限ナンピン地獄へと陥るのであった……。

ここでちょっと考えてみてほしい。
例えば株価が2,500円の時にJT株を買うとする。
記事執筆時点で、次回の配当は1株当たり154円だから、配当利回りは154÷2,500=6.16%となる。
ここから時間が経って株価が2,400円に下がったとする。
ここで既に含み損が発生している。1株当たりの含み損は、2,500-2,400=100円だ。
この含み損を取り戻すのに154円の配当(税引後で約123円)をもらえば元が取れる。
ではさらに時間が経って株価が2,000円になったら?含み損は500円となり、それを取り戻すには5年分の配当が必要だ。
じゃあ20年後を想像してみよう。
配当金が減配も増配もしなかったとして、154円の配当金を毎年もらい続けた場合、税引後の合計で2,460円の配当金がもらえることになる。
ここでいくらでJT株を買ったのかを思い出して欲しい。そう、2,500円だ。20年経ってようやく株を買った現金の元が取れるわけだ。厳密にはちょっと足りないが。ちなみにインフレを考慮していないから突っ込みは勘弁して欲しい。
じゃあその時の株価がもし1,500円になっていたらどうだろう?
実際にそこまで下がるかどうかは別として下がっていたとしたら、の話だ。
含み損は1,000円だ。これを配当金で取り戻すにはさらに8年の月日が必要となる。

いったいこれは何が起こったのか?
つまりあなたは、20年かけて払いたくもない税金を払いながら、株を買ったのと同じ金額のお金を、アホみたいに涎と小便を垂らしながら喜んで受け取っていただけの話なのだ。
しかも元が取れたと思ったら実は元が取れていなくて、さらなる年月をかけて、またアホみたいに涎と小便を垂らしながら喜んで配当金を受け取っていくだけの話なのだ。
もしかしたら、その元が取れた頃にはさらに株価が値下がりしているかもしれない。
無限に涎と小便を垂らしながらアホみたいに配当金を受け取るレースだ。
本当にアホなのかな?

ちなみに株価の値下がりに合わせてナンピンし続けると、確かに配当利回りはどんどん高くなるが、含み損の絶対額は膨れ上がる。本当にヤバイ。精神的に耐えられなくなる。死にたくなる。いっそ殺せ。殺してくれ。
興味があるなら、ナンピンし続けた場合にどうなるか、自分で計算してみるといいだろう。

反論はあるだろう。
JTは連続増配傾向の銘柄だ。
キャッシュフローは安定している。
配当性向は確かに高いが、海外のタバコ企業と比べれば同程度であり、高すぎるわけではない。
加熱タバコを投入することで利益を確保できるのだ。
株価が下がって配当利回りが高くなれば、配当金自体が下支えとなってそれ以上は下がらないはずだ。
なるほどなるほど。

でもタバコ自体の市場が縮小してるのに、20年後、30年後までいまの利益を確保できると本当に思ってる?
機関投資家がESG投資を積極的に行うようになって、タバコ銘柄自体が売られる傾向にあるのに、値下がりしないと言える?個人投資家の買いなんて微々たるもので、機関投資家が売れば容赦なく値下がりしていくのに?
さらに言うと、減配しないと本当に思ってる?ローソンもしまむらも日産も減配したよ。
もし減配したら株価がどうなるか?当然さらに値下がりする。
値下がりすれば含み損はさらに膨れ上がり、配当金も減っているので、それを取り戻す時間も長くなる。

長くなったが、私が言いたいのは、配当利回りというものの意味を考えてほしいということ。
ちゃんと勉強している人はわかっているだろう。
配当利回りが高いということは、市場が「これくらいの利回りがないと、リスク高くて、こんな株買えねーよ」という評価を下したということなのだ。
新興国の債券の利回りが高いのも同じ理由だ。
あなたはリスクが高いものを買っているという自覚はあるだろうか。
有名ブロガーが推奨していたから、有名アナリストが推していたから、周りのみんなが買っているから。
そんな理由で何も考えずに高配当株を買っていないだろうか。

自分の頭で考えない投資家がどうなるかは過去の先人達が証明している。大量の損を抱えて退場だ。

もし高配当株なんかに手を出さずに、自分の頭で必死に考えて選んだ成長株に同じお金を投資していたら、30年後には含み益をほくほくした気分で眺めていることだろう。
おまけに配当金も毎年もらえるのだ。
もちろん自分の銘柄選定が外れて失敗している可能性もあるだろう。
だけど、同じリスクを取るなら期待値が高い方に投資するのがまっとうな道だろう。
これが理解できないのなら、今すぐ投資はやめた方がいい。

世の中には、思考できる脳を持った人間という種族として生まれたくせに、思考を放棄してJT集中投資なんていうクソみたいな投資をやらかして、自慢げに晒してる人もいるけど、あんなのをマネして欲しくない。
それから、「含み損すごいけど私はJTをナンピンし続けます!JTはつぶれることがない!財務大臣が大株主だから減配もありえない!配当金は最強です!」 なんていう人間にもなって欲しくない。その根拠のない自信、なんだよ。本当にアホなのかな?

まずは、リスクの取り方を間違えた人間が、世の中には山ほどあふれていることを認識しよう。
何なら、自分以外の人間はみんなアホだと思ってもいい。
人間はどうしても誰かと同じことをして安心感を得たくなるのだけど、他人と同じことをしていては成功への道は歩めない。
あなたが本当に投資で成功したいなら、リスクの取り方を間違えてはいけない。
自分の頭だけ信用しろ。他人の思考はすべて雑音だ。

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